ミクロ経済学の力

入門、初級レベルのミクロを学習後、さらにミクロ経済学の理解を深めたい場合に最適な一冊です。私は初級レベルの参考書を終えた後に武隈ミクロに着手しました。しかし、双対性の部分が全く理解できずに困り果てていました。しかし、本書の双対性の解説が非常にわかりやすく、なんとか価格効果を代替効果と所得効果で表現するスルツキー分解の式に到達できました。理論の網羅性は武隈ミクロなどの他書に劣りますが、中級レベル以上に進むにあたって絶対に抑えておかなければならない基本事項をわかりやすく丁寧に解説しています。武隈ミクロなどの具体例を最小限にして理論を数式を用いて簡明に記述していくスタイルの参考書をやっていると、経済理論の知識は身についている実感はあるものの、それをどのように応用したらよいのかが分からないということが多いと思います。随所に登場する現実の経済現象の事例は非常に興味深いものばかりで、知的好奇心を掻き立てられました。理論を重視する参考書をやりつつ、本書で理論がどのように応用されているのかも学ぶという感じで利用するのが良いかなと思います。