生活経済トレーニング どちらがトクか選べ!

２つのスペシャル問題、25個の問題、５つのコーヒー・ブレークから成る本です。２ページで問題（あるテーマについて、２つの行動の選択肢が示される）、７〜８ページ程度で解説・解答が示される構成です。本書には両方ともあり得る選択肢が示されているので、「解答を考える際には、こんな要素も、あんな要素も、さらにはもっと別の要素も考慮するする必要がある」「結論を導き出すには、多くの要素を考え併せた上で、最終的には、その時の状況や判断者の価値観に左右される」というような設問となっていますが、著者は、単一のある視点（経済学的視点、著者の体験に基づいた考え方、著者が企業人等から聞いた話など）からみて、「正解」を記述している設問が多いと思います。少し異なる論理構成を用いれば逆の結論を導き出せます。なので、本書を読む人は、「自分の答えが、著者の示す正解か不正解か」を気にする必要はありません。「この設問は、エコノミスト視点でみると、こんな視点があり得るんだな。」ということを確認しつつ、楽しみながら、読めばよいと思います。本書には、「結婚相手」「旅行」「携帯電話料金」「マイホームか借家か」「資格取得」「就活の面接・エントリーシート」「会社の人事制度（成果主義の是非）」「おカネの運用」「住宅ローン」「保険」などなど、多様な内容を扱っているため、よく言えば「多面的な知識が得られる」とも言え、その反面「あまりにも多くの事柄を扱っているので、一つの分野で体系的な知識が得られるわけではない」ということも言えます。いずれにせよ、本書はなかなか興味深いことが書かれている本であり、読む価値は十分にある本と思います。あまり難しいことは書かれていないので、ずんずん読み進められる本であり、多くの人が楽しんで読める本と思います。（ただし、くどいですが、この本の「正解」が、そのまま世間一般の「正解」とは限らないことに注意すべき本です。）